「乳児湿疹・アトピー性皮膚炎」は適切な「スキンケア」から!
乳児期の皮膚トラブルは小児科でも一番多い相談の一つです。「乳児湿疹・アトピー性皮膚炎」や「皮膚の乾燥」は適切な治療やスキンケアをすることで「食物アレルギー」の予防にもつながると考えられています。
保湿剤や軟膏の塗り方は、適切な指導のもとで行うことにより効果を発揮します。当院の看護スタッフが丁寧に指導させて頂きますのでご相談ください。
「炎症をとること」と「バリア機能を強化すること」の2つが重要
皮膚の炎症があるとそれにともなってバリア機能がより低下する、という悪循環が起こります。 そのため、アトピー性皮膚炎や湿疹の治療では、
- ステロイド外用薬を使用して皮膚の中で起こっている炎症をとること
- 皮膚を清潔にして保湿するスキンケアを行ってバリア機能を強化すること
をセットで行う必要があります。
① ステロイド外用薬で炎症をとる
ステロイド外用薬は皮膚の炎症をとるのに有効ですが、適切に使用することが大切です。
ステロイド外用薬を数回使用すれば、見た目もきれいになり、かゆみもおさまってしまうことがあります。しかしこのとき、目に見えない皮膚の中では、まだ炎症がくすぶっていることがあります。ここで薬をやめてしまうと、また炎症がひどくなり、かゆみや湿疹が現れます。そこで再度、薬を使用する・・・という繰り返しが起こりがちです。このような使用方法では、いつまでたってもステロイド外用薬をやめることができず、副作用が現れてしまう恐れもあります。
そこで、2015年5月に発刊された「アトピー性皮膚炎診療ガイドライン2015」では、見た目がきれいになり、かゆみがおさまってからも、一定の間隔をおいてしばらくはステロイド外用薬を使用する「プロアクティブ療法」が推奨されています。
皮膚の中の炎症がなくなるまでステロイド外用薬を適切に使い続けることで、最終的にステロイド外用薬をやめることを目標にした治療法です。
ステロイド外用薬をどのくらいの期間、どのくらいの量を使用すればよいのか、医師の指示を守り、症状が繰り返すことがなくなるよう、根気よく治療を続けましょう。
スキンケアでバリア機能を強化する
同時に、スキンケアによってバリア機能を強化します。スキンケアとは、皮膚をしっかりと丁寧に洗って清潔にし、皮膚を乾燥から守るために保湿剤を塗ることです。
アトピー性皮膚炎の症状を悪化させるもっとも大きな要因が、皮膚について「黄色ブドウ球菌」です。しかし、皮膚に炎症があると皮膚には黄色ブドウ球菌がつきやすく、さらに炎症を悪化させ、湿疹やかゆみがさらにひどくなる原因となります。そこで、体を泡で丁寧に洗って黄色ブドウ球菌を落とすことが必要です。
体を清潔にした後、皮膚の水分を補う目的で、保湿剤を塗ります。湿疹のある皮膚はもともとバリア機能が低下しやすく乾燥しがちであるため、プロアクティブ療法を行ってステロイド外用剤をやめることができても、保湿剤をやめることはできません。しかし、年齢とともに皮脂の分泌が増加して乾燥が改善されたり、治療を継続したことで、自然治癒力が増してバリア機能が強化され、保湿剤を使わなくても済むようになることもあります。